※注※6月期Web拍手お礼 |
ある日の夕食。 ちゃぶ台に並んだメニューを見て、はたけカカシは固まった。 「いただきます」 「・・・いただきます・・・あの、イルカ先生」 「はい?」 「いや、その・・・」 「食べないんですか?カカシさん、冷めますよ」 「あの・・・ひょっとしなくても、怒ってます?」 「どうしてですか?」 「どうしてと言われると・・・」 「そう言えば、カカシさんが好きなのは、茄子の味噌汁でしたっけ。茄子のてんぷらじゃなくて」 「・・・・・・あの、イルカ先生・・・」 「これも、そう言えばですけど、俺が明日行くはずだった任務が急に中止になりました。どこかの奇特な上忍が、替わって下さったそうで」 「あー・・・」 「綱手様がおっしゃっていました。明日以降俺が行くはずだった里外任務、全部その上忍に回されたそうです。まぁ、中忍が行くより効率的ですよね」 「いや、そういうつもりでは・・・」 「その上忍の言い分では、俺には、休校状態のアカデミーの復興を当らせるべきだそうです。他のアカデミー関係者の任務も、その上忍が割り振りし直させたらしくて、全員明日から、アカデミー再開の準備に入ることになりました」 「・・・それは、よかった、と思いますが・・・」 「・・・カカシさん」 「はい」 「・・・俺はあなたの何ですか?」 「大切な、恋人です」 「本当に?」 「本当に。・・・どうしてそんな事言うんですか?」 「綱手様が里に来た日に言われました。アカデミーの復興は急ぎたいが、どうしても、現状では人員が割けない。出来る限りの事はするから、しばらく勘弁してくれないか、と。だから、こんなに早くアカデミー再開の目途がついた事には、職員全員本当に喜んでいます。俺も、今日、綱手様にあなたの事を言われるまでは、単純に喜んでいました。でも・・・」 「でも?」 「綱手様から、あなたが、全部一人で負担を背負い込むつもりだと聞かされた時の、俺の気持ちが分かりますか?」 「・・・・・・」 「・・・綱手様が言わなければ、あなたは何も言わずに任務に出たんでしょう。俺は何も知らずに、里でのほほんとあなたの帰りを待つ・・・何なんですか、それは」 「イルカ先生・・・」 「・・・あなたは上忍で、俺は中忍で、本来はあなたに意見できる立場じゃありません。俺なんかが、あなたの体を心配したりすることも、おこがましい事だと分かっています。でも、それでも、俺は、何も言ってくれないあなたに腹が立つし、心配で堪らないんです」 「ごめんなさい・・・」 「謝らないで下さい。謝ってもらうより、俺は、あなたに分けてもらいたいんです。嬉しい事や楽しい事と同じように、嫌な事や悲しい事や苦しい事も、あなたと分かち合いたい。俺の事を・・・恋人だと思ってくれるのなら、それだけ、約束してもらいたいんです」 「・・・イルカ先生は、オレを甘やかせすぎです」 「それは、お互い様でしょう」 「少しは、オレにもいい格好させてくださいよ」 「そんなものはいりません」 「・・・あぁ、もう。言っておきますけど、公私混同なんですからね。あなたを里から出したくなかったから」 「自分で言っていれば、世話ないですね」 「・・・もう、怒ってないですか?」 「今日の夕飯は、つまらない腹いせです。ごめんなさい」 明日は秋刀魚を焼きます、とうみのイルカは微笑んだ。 050627 |
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