※注※ 覚書より移動

 

 

 

「あんたって、いっつもそうだ」

受付のドアを開けようとしたアスマは、室内から聞こえてきた声に思わず手を止めた。すぐにドアが内側からがらりと開き、中から一人の男が出てきた。

跳ね上がった銀色の髪と、顔の殆どを隠した胡散臭い風体をしたその上忍は、ドアの前に立っていたアスマを特段驚いた風も無く一瞥すると、

「お疲れ」

と口の中で呟いて、廊下を建物の奥へと歩いていった。

受付には、担当の中忍が一人座っている以外、人影が無かった。里随一の実力を持つ写輪眼のカカシに捨て台詞を吐かれたはずのその中忍は、顔色一つ変えることなく、

「任務、お疲れ様です」

アスマを見て微笑んだ。

 

 

 

「仲良くやってるんじゃないか」

アスマの言葉に、報告書からちらりと目を上げてイルカは小さく苦笑した。

「・・・そうでしょうか」

「カカシに、あんなガキみたいな口の利き方させるんだから」

地団駄踏みかねない勢いだった、とアスマは、受付を出て行った時のカカシの様子を思い出して笑った。

「あいつが今度はどんな我儘を言い出したんだか知らないが、あんまり甘やかせるなよ」

そんなつもりはありませんよ、とイルカは首を振った。

「カカシさんの要求を全部飲んでたら、俺は忍を辞めて、どっかに閉じ込められてなきゃなんなくなります」

「それは真っ平か?」

頷くイルカに、アスマは微かに目を細めた。イルカの中にある、己が己である事への矜持は、そんな一方的な恋情をよしとしない。その誇り高さ、犯し難さにカカシは惚れ、また焦らされてもいるのだろう。

「ま、痴話喧嘩は、閨の中だけにしといてくれや」

アスマは煙草を咥えた唇の端から煙を吐き出した。

「犬も喰わないものを押し付けられちゃあ、周りが迷惑だからよ」

恋人の我儘には動じない男の頬が、この程度の軽口で赤く染まるのを見ながら、アスマは、受付のドアの前に戻ってきた銀髪の上忍の気配を察して、吹き出しそうになった。

 

 

 

060302

061007リメイク

 

 

 

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