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野営地。午後9時。 「お話中の所申し訳ありません。はたけ上忍は?もうご自分のテントに戻られていますか?」 「そうだけど。何?何か急ぎの用件?」 「はい。急ぎという訳ではないですが」 「明日でも構わない事なら、朝まで待ったほうがいいわ」 「そう、ですか?はたけ上忍は夜伽も呼ばないから、時間は気にする事無いと言われているのですが」 「今夜は、特別」 「特別、ですか?」 「はたけ上忍、この間伝令の鳥が来てから、やたら機嫌良かったでしょう」 「・・・自分には、いつもと変わらないように見えましたが・・・」 「まぁ、あまり感情が表に現れない人だからね。ほんと、鼻歌でも歌い出しかねない勢いだったわ」 「はたけ上忍が、鼻歌、ですか・・・」 「で、今朝、伝令通り里から支援物資が届いたでしょう」 「はい」 「つまり、その移送部隊の中に・・・ね」 「あー・・・」 「だから、今夜は外しなさい。邪魔したら、逆に睨まれるわよ」 「そうします。でも、そんな女性、あの中にいたかなぁ」 まさぐる指に、肌が熱い。 首筋に舌を這わせると、全身が甘くのたうつ。 「ふ・・・」 漏れる吐息さえ逃がしたくない。寝台に広がる黒髪から、固く強張らせたつま先まで、今夜イルカの体で、カカシが触れなかった部分は無かった。 「本当に・・・明日帰っちゃうんですか?」 既に吐精させたそこを、カカシは再び指の腹でゆるゆると撫で上げた。胸への刺激を合わせると、細い声と共に、カカシの指を弾くように立ち上がる。 「3日位は、いてくれると思ってたのに」 腹いせ交じりに、少しきつめに擦りあげる。漏れそうな甘い吐息を堪えているのだろう、短く息を吐いて、内腿を強張らせて耐える様が、堪らなく可愛い。 「そんな、急いで里に戻ってどうするんですか?」 「ん・・・ふ・・・」 「五代目の命令だとか言って。本当は、何か悪い事しようって考えてるんじゃないですか?」 「ち、ちが・・・あっ」 カカシは張り詰めたイルカから手を離した。そして、イルカの膝裏を持ち上げ、胸につく程大きく広げさせた。露わになったイルカの後ろは、先ほど中に放ったカカシの精が溢れ、艶かしく濡れている。 「カ・・・カシさんっ」 悲鳴のような声が上がり、イルカは体を捩って逃げようとした。こうやって見られる事にまだ慣れていない。慣れるほど、その羞恥を剥ぎ取れるほど、交わっていない。 イルカと恋人という関係になってからもう1年になるが、木の葉崩しの激震と、それに続く混乱の中で、共に過ごした夜は少ない。 今回の遠征も、3ヶ月が目安の長期任務だった。逢えない時間は辛いが、こうして移送部隊に志願して来てくれたイルカと、すぐに離れられなくてはならないと思うと余計、執着を隠す事ができない。 「オレがいないからって、浮気しちゃ、駄目ですよ」 本当はいつも側にいたい。離れたくない。愛しいと思うこの気持ちを、その体に目に見える形で刻み付けたい。カカシは、イルカの腰を抱え込み、熱い高ぶりを押し付けた。 「・・・もう、分かってんですかね、あなたは」 どれ位、オレがあなたの事が好きか。 「今日は、本当に腰が立たなくなるまでやりますからね。明日、帰れないって言われても、知りません」 伸びてきたイルカの手のひらが、カカシの両頬を包んだ。 「・・・カカシさんこそ、分かってるんですか?」 身にうねる快楽に視点がぶれるのか、目を瞬かせながらイルカは微笑んだ。 「俺がどれ程、あなたの帰りを待ち焦がれているか。あなたの邪魔だけはしたくないと、側にいてくれと言いたい気持ちを、どれ位我慢してるか」 「・・・・・・」 「本当に、足腰立たなくなってここに一緒にいられたら、って思ってるんですよ」 そうしたい。そうされたい。 あなたと、片時も離れたくない。 互いに、そうできないと分かっているから、何よりも強く願わずにはいられない。 今宵何度目かもう数え切れない口付けを、二人は交わした。 野営地。午後10時。 夜は更けてゆく。 051010初出 081112リメイク |
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