silly

 「い…やだ…っ」
拒絶の言葉を吐く唇に口付けようと、顎をきつく掴んで固定する。脱臼させては元も子もないから力加減が難しいけれど、カチカチと歯を鳴らす勢いで舌を噛まれては流石に困る。
 戦慄く唇の間から舌を差し入れて、上顎の裏から上歯の付け根へねっとりと舐めつける。喉の手前で縮こまっていたイルカの舌に絡みつけると、のし掛かるオレを押し返そうと、抵抗が更に強くなる。
 生理的な反応でイルカの口腔に唾液が溢れる。それをわざと音をたててすすり上げると、浅黒い肌が粟立つ。
「はな、せっ…畜生」
顎を掴んでいた手を離した途端、そんな言葉を吐いて、ぎ、と焼け付くような目で睨みつけてくるから、
「嫌いな男に犯されるのは、そんなにいや?」
その鼻先で囁けば、
「当たり前だっ…!」
毛を逆立て、噛みつかんばかりの剣幕だ。
「あ、そ。嬉しいね」
ぞくぞくする。カカシはにこりと笑ってみせた。


 ぐちゅぐちゅと、繋がった場所で湿った音をたてるものが、たっぷりと使った潤滑油なのか、それとも抜かぬまま何度も注ぎ込んだ自分の精液なのか、もう分からなくなっていた。
「きもちいい」
襞と粘膜が絡み合う感触が堪らなくて、ゆっくりと腰を使う。きつさが解けたイルカの内側は熱く溶けて、底無しの泥に突っ込んだ時さながらにみっちりと、壁を収縮させてカカシを締め付けてくる。
 まるで、カカシの形に作り変わったかのような壮絶な一体感。
「きもちいい?」
う、うと呻き声を零し、堪えるようにシーツを握りしめていたていたイルカは、カカシの囁きにはっとしたように目を瞬かせ、それからのろのろと首を横に振った。
「うそつき」
カカシは笑う。
「すごいよ、あなたのここ」
そう囁いて、イルカの下腹に手を延ばした。イルカの雄は勃ち上がりながら、芯を失って柔らかい。カカシが突き上げる度に、びっしょりと濡れた先端から、白く濁った汁が、とふとふと漏れ出してくる。
「これ、イってるんでしょ?」
溢れたものを指先で拭い、舌先で舐めて、にこりと笑って見せる。
「嫌いな男に突っ込まれても、イきっぱなしになっちゃうんだね、先生は」
「ち…が…」
上気した頬が、更に赤く染まる。この期に及んで、屈辱を感じるその心根に、征服欲が駆り立てられる。
「何がちがうの?」
汗で頬に張り付いた黒髪を指先で払って囁くと、イルカは、く、と唇を噛み締め、顔を逸らした。離せとばかりに肩を押し返してくるのが、逆効果だとは分からないのか。
「中もね、最初は、指でほぐしても痛い位にきつかったのに、段々柔らかくなってきて」
汗に濡れたイルカの腕を引き寄せ、腰をこれ以上ない程に奥まで進めると、あ、あ、と感じ入ったような声を上げて喉を反らせる。むき出しになった喉仏の丸みに歯を立てて、
「一回中でイったら、もう、とろとろで、ぐちゃぐちゃ。自分で分かる?」
こんなの、きもちよすぎて、ぬきたくないでしょ。カカシの言葉に、くそ、と震える瞼を閉じ、イルカは唇を噛み締めた。
「いくら心が嫌がっても、あなたの身体は、間違いなく悦んでる」
オレに抱かれて、犯されて、悦んでる。
確かめるように、言い聞かせるように、カカシはイルカに、何度も囁いた。


 カカシの肩を押し返していた右手が最後の抵抗だった。それがぱたり、とシーツに落ちると、身体はもう、カカシに揺すられるままだ。
 カカシは惚けたように腰を振る。抵抗を失ったイルカの身体は、その内側もまるでとろりとしたぬるま湯のようだ。摩擦のような強い刺激はいつしか溶けて、ただ、ただ、柔らかくて気持ちよくて、粘膜の隅々まで混じり合うような錯覚に陶然となる。
 カカシのゆっくりとした動きに合って、喘ぎ声にもならない、ただ甘く溶けた音が、イルカの唇から零れる。何度も噛み締めて血の滲んだ唇に舌を這わせても、弄り過ぎて赤く腫れ上がった胸の突起を指で弾いても、力の抜けきったイルカは、もうカカシのなすがままだ。
「きもちいい?」
ふわふわと、イルカは頷く。快感に蕩け切った瞳は、焦点さえ合わない。
「分かった?」
唇を触れ合わせ、吹きこむようにカカシは囁いた。
「あなたは、こういうのが、気持いいの。口で何て言ったって、突っ込まれて、イかされて、こんなになってるこの身体が証拠」
「ふ……」
「こんな身体じゃ、もう、女は抱けないよ」
 だから諦めて、ずっとオレのものでいて頂戴。カカシは小さく呟いた。


**********


 最低だ、と飛んで来た拳は甘んじて受けた。
 俺の事がそんなに信用できないか、と怒鳴りつけられた。
「信用してるとかしてないじゃないの」
カカシは、怒りに震えながら仁王立ちするイルカを見上げた。
「男でも女でも、あなたが他の人間の事、一瞬でも、そういう風に考えるのが、嫌なの」
 先月、研修でアカデミーに砂のくノ一がやってきた。美女には慣れている木の葉の忍が、うっかり見惚れてしまう程の尤物で、研修が終わって、くノ一が砂の里に戻ってからも暫く、特に男性陣の間で話題に上った。
 あんな別嬪さんなら一度でいいからお願いしたいもんだ。教師同士の気安い飲み会で誰かがそう言って、そうですね、とイルカが相槌をうった。
 酒の場での、男同士の下品な冗談だ。それ位はカカシも分かってる。
 それでも、嫌なものは嫌なのだ。どうしても、我慢がならなかったのだ。
 だから、カカシを嫌いになるようイルカに暗示をかけて、無理矢理に身体を拓いた。心がどうであろうと、イルカの身体はもう、カカシから決して離れられないのだと思い知らせたかった。
 「あなたが……こんな大馬鹿野郎だとは思いませんでした」
憤怒の形相で、イルカが低く唸る。
「いつまででも怒ってていいし、許さなくてもいい。オレは謝らないからね」
いけしゃあしゃあと言うカカシに、イルカの顔が更に真っ赤になる。
「……くそ!」
そしてイルカは、憤懣やるかたない、といった様子で叫んだ。
「こんな大馬鹿に惚れちまった、俺も大馬鹿野郎だ!」


120605


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