「あんたに出来るとでも?」

もし、俺が浮気したらどうします?なんて、軽い気持ちで聞いたけれど。

歪んだ笑みを浮かべた唇で、そう嘯いたのが気に喰わない。

 

「俺に、出来ないとでも?」

そう返すと、右眉の辺りがぴくりと引きつった。口の中で、歯を噛み締めたのが分かる。

「・・・出来ないよ」

一度苛立たしげに逸らされた視線が、また、俺に戻ってきた。

「あんたは、浮気なんか、出来ない」

断言は、まるで祈りのように一途な響きを持っていた。

「だってあんたは、オレが痛い思いをするのを、何より嫌がるじゃない」

 

あなたを傷つけたのだと知って、心に湧き上がったのは、棘が刺さった痛みのような切なさと、後悔と、あなたの心をこれほどまでに捉えているという、甘美な陶酔。

 

しないで、と言えないあなたの意地が、俺には愛しくて堪らない。

 

 

 

060427

 

 

 

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