「中忍のくせに、生意気なんだよね、あんた」

何と子供じみた言い方か。

呆れる俺の目の前で、怜悧な美貌を赤く染めて、銀髪の上忍は口を尖らせる。

「あんたなんてね、黙って人の言う事聞いてればいいんですよ」

人じゃなくて、オレでしょう?

本当に、勿体ない。俺は小さくため息をついた。

描いたように綺麗なその唇を、ゆるやかな笑みの形に閉じて。宝石のようなその眼差しを、銀色の長い睫が頬に淡い影を落とすほどに伏せて。ただ黙ってそこにいるだけで、野暮で世慣れぬ中忍など簡単に籠絡できるのに。

自分の容姿の価値を、クナイの一本程度にしか考えていない男は、まるで余裕のない表情を浮かべ、言葉だけは威勢良く、優位に立とうとさっきから必死に足掻いている。

「カカシさん」

名を呼べば、ぎくりと肩を震わせて、窺うような視線を寄越す。

それだけで、この男が、どれほど俺に参っているのかが分かる。

「飲みましょうよ」

二人の前に置かれたジョッキの中で、ビールの泡はもうほとんど溶けてしまっている。

「カカシさん、いける口ですよね?」

そう言って、顔を覗き込めば、

「あんたの倍はいけるけど?」

どこか誇らしげに胸を反らす様子に、つい、笑みが零れてしまった。

ああ。

何て。

馬鹿な男を好きになってしまったんだろう。

 

 

 

060510

 

 

 

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