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誰がどう考えたって。 夕方の商店街、買い物客や帰宅を急ぐ人々が行きかう往来で。 好きだと大声で叫ばれたら、逃げずにはいられないだろう。 しかも、同性。 しかも、上忍。 しかも、写輪眼のカカシ。 これだけ揃って逃げない奴がいたら、俺はお目にかかりたい。 「・・・ああクソ」 この足がもう少し長かったらもっと早く逃げれるんじゃねーの。 悪態をついてはみたが、里の中、どこへ逃げても逃げ切れる気がしない。 俺は、受付の裏口からアカデミーの屋上へと上がった。下校時刻をとうに過ぎ、どこにも人影は無い。 膝に両手をつき、肩で息する俺の背中に、 「イルカせんせ」 給水塔の上から、呑気な声が降ってきた。・・・あぁ。畜生。 「ねぇ。何で逃げんのよ」 俺は、渋々覚悟を決めた。 「あんたが・・・好きだなんて言うからですよ」 「なあにそれ」 一世一代の告白なのに。酷い酷いとカカシさんはどこか嬉しそうな声で笑った。 「好きだなんて聞いてしまったら、決めなきゃなんなくなるでしょう?」 走ったからだけじゃなく、全身の脈拍が速さを増す。 「俺は、ごくごく普通の男なんです。可愛くて頑丈な女房を貰って、元気な子供を沢山つくって、定年まで教職を勤め上げて。慎ましく平凡だけれど、子や孫に囲まれた幸せな老後を迎える。そういう将来を思い描いていたんです」 でも。俺は振り返り、いつの間にか目の前に降り立って、俺に手を伸ばすカカシさんを睨みつけた。 「あんたに、好きだなんて言われたら、この夢全部捨てるって、決めなきゃなんないじゃないですか」 同性だろうが。 上忍だろうが。 写輪眼のカカシだろうが。 この男の為なら、今までの人生もこれからの未来も、俺の全部を与えたっていい。 そんな風に思ってしまった、俺の人生設計どうしてくれる?
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