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8 緊急の呼び出しを告げる鳥の声が聞こえた時、まさかと思った。 イルカが詰める受付にカカシが謝りに来た時、がっかりした気持ちが顔に出ていなかっただろうか。 自分から誘ったのに申し訳ない、と頭を下げてくれるその気持ちが嬉しかったけれど、任務だから仕方ない、そう物分かりよく割り切るには、カカシと過ごせるはずだった約束は魅力的に過ぎた。 「・・忍失格だよなぁ」 イルカは、小さく自嘲した。 夜食というには遅い時刻。受付での勤務を終えたイルカは、コンビニでビールとつまみを買って帰宅の途についていた。 カカシが緊急の呼び出しをかけられて、夕食を共にする約束が反古になってから、もう10日が経っていたが、 「我ながら情けねぇ・・・」 そう呟いてしまう程、イルカは未練をたらたらに引きずっていた。 緊急の呼び出しで下されるような任務は、受付を通さない火影勅命だ。それでなくとも、会えない時は数ヶ月もその姿を見る事が出来ない。 無事の帰還を何よりも願う。だが、浅ましい恋心はつい考えてしまうのだ。 カカシが戻ってきて会う機会ができたら、自分から誘うか。それとも、カカシがもう一度気紛れを起こして誘ってくれるのを待つか。 手の中に掴みかけたこの機会を、イルカは逃したくなかった。 深夜の里は、しんと静まり返っている。 夜陰に紛れて里を発つ忍も、帰還する忍もいるが、余程の事が無い限り、皆気配を殺している。里人と忍が同じ街に住む木の葉の里では、互いの領分を思いやる事が暗黙のルールだ。 街灯が瞬く路地の角に、イルカはふと、微かに人の存在を感じ取った。静かな、足音ともいえない空気の動きに、相手は忍だな、と思いながら、そのまま角を曲がった。 満月に向けて膨らみ始めた月が、雲間に霞んでいる。その下に佇む姿に、足が止まった。 ・・・まさか。 「・・・カカシさん?」 ちかちかと点滅する街灯を浴びる、見間違えるはずがない銀色の髪と、右目を隠すように巻かれた額宛。 そして、微かに漂う血の匂い。 ・・・それって不意打ちだよ。 イルカの心臓が、一気に心拍数を上げた。 080317 ブラウザを閉じてお戻り下さい |
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