内勤の職場って、皆そうなの?

お疲れ、なんて言いながら部下の肩を抱いたり、飲みに行こう、なんて顔を覗き込んだり、無理やり酒を飲ませたり、同性でも家まで送って行ったりするもんなの?

6歳から部下を持って戦場に立ってたオレには、内勤のコミュニケーションとか人間関係の潤滑油っていうのが全然分からないんです。だから、もしそれが内勤同士当然のスキンシップなんだったら、やっぱり、オレの方が変なんですよね。

でもね。

頭が痛いんです。これ以上見てると破裂するんじゃないかと思う位。

胸が痛いんです。これ以上見てると張り裂けるんじゃないかと思う位。

ねぇ、これって、嫉妬ってやつみたいに思うんですけど。

 

 

 

どう思います?なんて問われても。

イルカは、いきなり現れてそんな事をのたまう銀髪の上忍を呆然と見上げた。

今夜は仕事帰りに上司に誘われて、二人で居酒屋へ行った、その帰り。送っていくよと言われて大丈夫ですよ女じゃないんですからなんて言っているうちに、アパートまで来て。上司は酒に弱くなかったはずだが、いきなり、今日は酔ったみたいだ休ませてくれなんて言われて、仕方ないと、上司に肩を貸しながらアパートの外階段を上がる所だった。

狭い階段の踊り場で、銀髪の上忍は腕を組んで、イルカを見下ろした。いや、イルカではなく、イルカが肩を貸している上司を、糸のように細めた眼でじっと見つめている。

何故か、きん、と周囲の気温が下がった気がした。

ぐったりとイルカにもたれていたはずの上司が、急に体を硬くした。喘ぐような声を上げて、

「も、もう大丈夫みたいだ」

イルカの腕を振り解き、もつれていたはずの両足で後ずさる。

「え、本当に大丈夫なんですか?気持ち悪いって・・・」

驚いたイルカに、

「だ、大丈夫だから。本当に!また明日な!」

無理やりのような笑顔を浮かべ、ちらりと銀髪の上忍に視線を投げると、ひっと短く息を飲んで、あっという間に、路地を走って行ってしまった。

「何なんだ・・・?」

呆然と見送ったイルカに、

「ねえ」

上忍が、ひっそりと言った。

「これって、嫉妬?」

振り仰げば、上忍は、踊り場にぐったりとしゃがみ込んでいた。恨めしそうな目で見返されて、

「知りませんよ」

半ば呆れながら、イルカは階段を上ると、上忍に手を差し出した。

「・・・せんせ、あんた、隙あり過ぎ」

「あなたが、変な心配し過ぎなんです。こんなむさい男をどうこうしようと思う奇特な男は、木の葉広しと雖もあなた位のものです」

はあ、とイルカの手を取って立ち上がった上忍は、深い溜息をついた。

「・・・どっちが真実をついてるかは、分かってる人には分かってると思いますけど、ね」

「人って何ですか?誰に向って言ってるんです?」

「いーえ、何でもないです」

カカシはポケットから鍵を取り出した。うみの、と表札に書かれたドアに鍵を差し込む。

「・・・早く一緒に住みましょうよ」

ドアを開き、闇に沈む壁を探って、明かりをつける。

「今も、一緒に住んでるみたいなもんでしょう?」

「ほら、なんて言うか、けじめ、ってやつです。ちゃんと届けも出しましょう」

「届けってなんのです?」

「それは・・・」

カカシはドアを閉め、二人だけの部屋に、鍵をかけた。

 

 

 

オレとしてはね。

この人がオレのものだって、早いとこ皆に知っておいて貰いたい訳。

この人、人の心の機微には敏いくせに、こういうとこ妙に鈍感だから本当に困るのよ。だから、ね。

そうしたら、今日みたいな変な虫も寄ってこなくなるだろうし、オレも少しは心が休まる。

ねぇ、そこのあなた。

あなたも、それがいいと思うでしょ?

 

 

 

081207

 

 

 

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